イブラヒモビッチとチアゴシウバの移籍騒動

  • 2012.07.21
By Black and Blue

Goal.comの『コラム:PSGはいかにしてイブラを手に入れたのか』を読んでいたら笑ってしまった。

『僕はリーグアンの選手たちを知らないが、彼らは僕が誰だか知っているはずだ』

さすがイブラヒモビッチと言うべきか。普通だったら大言壮語と一笑に付されてしまうが、過去の実績が全てを物語っているだけに誰も文句を言うことが出来ないのだ。アヤックス・ユベントス・インテル・バルセロナ、そしてACミラン。過去所属したチームで8年連続優勝の記録を誇り、昨年度はセリエA得点王。現時点ではセンターフォワードとしては世界でも三本の指に入る逸材なのは確かだが、歯に衣着せぬ発言で物議を醸し出すことが多いだけに、バロテッリやカッサーノほどではないにしろ、行く先々で問題を引き起こす。

まもなく31歳を迎えるだけに20億以上で売却出来るのであれば間違いなく売りだが、いかんせんシウバとのセット、そして両選手共にACミランというよりも世界を代表するビッグネームであるだけに、ファンのみならず選手全体に与える心理面での影響は計り知れないものがある。

シーズンオフ後の選手の移籍に関してはネット上では様々な噂話が飛び交うだけに、個人的には球団公式発表後のユニフォームをまとったときまで信じることは出来ないと思っている。が、さすがに今回のシウバの移籍報道に関しては『ハートで46億円を断った』との公式発表、2017年6月までの契約延長により事態は収束するかと思われたのだが、その後、イブラヒモビッチ売却まで伝わってくるとまさに一寸先は闇の世界。

●主力放出で衝撃のミラン、二転三転の噂と言葉を振り返る

●T・シウバ:「ミランから移籍したくなかった」

それにしても関係者全員の複雑な思惑が交差、錯綜し、利害関係が真っ向から衝突する前代未聞の大型移籍だけに見ている側としてはその一進一退の攻防劇が面白い。連日連夜イタリアやフランスからの最新情報が飛び交ってくるが、まさに玉石混淆の真贋見極めにくい情報ばかりで、シウバ入団先行発表があった時点でのイブラヒモビッチの動向が分かりにくかったために、ネット上ではひょっとしたら残留と分析する向きも少なからずあった。

ここ数年シウバに関してはバルセロナが獲得一番手だったように思うが、PSGに強奪されたところをみると、さすがに札束勝負ではスペイン勢にも陰りが見え始めている兆候と見てもいいような気がする。世界最高のディフェンダーと評され、バルセロナの顔というべきプジョルもすでに34歳。後釜としてはシウバが最適だっただけに、PSGへのイブラヒモビッチとシウバ移籍は欧州サッカーの潮目が変わったときとして記憶されるときが来るのだろうか?数年後、チャンピオンズリーグ決勝戦はマンチェスターシティ対パリサンジェルマンの可能性が少しながら芽生えてきた。