さすがに夜通しで『オランダ対デンマーク』『ドイツ対ポルトガル』を見るのは疲れるので2本とも録画することにしたが、最初に見たのは『オランダ対デンマーク』。

さて前日の日記で『特に窮鼠猫を噛むではないが、デンマークの戦い方に注目したい』と書いたが、獅子の目の覚める前に一矢を報いてそのまま逃げ切りとまさにプラン通りの展開だっただろう。デンマークは前半からプレスの位置を高めに置き、隙あらば速攻で虚を突く作戦だったが、オランダが攻めているように見えても、一人一人の守備意識が高くスペースを消していたために殆ど決定的な仕事はさせていなかった。

グループBは戦前からドイツ・オランダの二強がグループリーグ突破かと噂されており、デンマーク選手全員が心に期するものがあったのだろう。対照的にオランダは前半の出来は今ひとつ。ファンペルシ、スナイデル、ロッペンを個としてみれば能力は高いのだが、組織としてまとまっておらず、攻めはするのだが点は入らない。各国リーグ終了から一月近く実戦から遠ざかっていることの動きの悪さが随所に見られたが、特に今期プレミアリーグで絶好調だったファンペルシのコンディションが良かったのならば1,2点は取っていたように思われる。

毎回言われることだが、決勝まで行くことを前提に考えている国はどうしても出足が悪い。グループリーグで力を使ってしまうと息切れしてしまうからだが、それを許さないのがいわゆる死のグループと言われるグループB。その意味でエンジンのかかる前に先取点を奪取したデンマークの作戦勝ちだが、後半からようやくエンジン全開となったオランダの攻撃は見応えがあった。

スナイデルは前半から徐々に尻上がりで、後半戦フンテラールへのアウトサイドキックはまさに針の穴を通す素晴らしいパスだったが、途中出場したためかフンテラールは決めきれない。今季ブンデスリーガ得点王ならば決めなければいけないシュートだったが、やはり実戦感覚が鈍っていたような気がする。それはロッベンも同様で、精力的に動き回ってはいるものの、コーナー左上を狙ったシュートが大きく枠をそれるのが数本あり、さらにはデンマークゴールキーパーのキックミスからのチャンスではポストにシュートを当てるなど、トップコンディションならば間違いなく得点になっていただろう。

前半終了時点でオランダ走行距離52kmに対して、デンマークは55kmと数字の上からもデンマーク選手が飛ばしていたのは分かるが、30本前後は打ったと思われるシュートのうち僅かに枠をそれたシュートが多数あり、運もオランダには傾いてはいなかった。ただデンマークとFWベントナーとの連携が悪く、1点目を奪取した場面以外はそれほど可能性を感じさせる場面は少なかった。クロスの質も悪く、より上位を目指すのならばこの辺りは要改善事項だと思う。

波瀾万丈の幕開けとなったグループBだが、初戦負けたオランダは次はドイツ相手に勝たなければならなくなった。