イブラヒモビッチ&シウバの同時移籍がもたらすもの
- 2012.07.14
●レオナルドSD:「イブラとはまだ合意していない」
PSGはミランに6500万ユーロと言われる高額オファーを提示し、イブラヒモビッチとDFチアゴ・シウバのダブル獲得を実現しようとしている。地元メディアの報道では、両クラブは合意に達していると言われており、移籍実現が有力視されているところだ。
ミランのシルヴィオ・ベルルスコーニ名誉会長も、放出を認める発言をしたと伝えられている。さらに13日、ミランの公式サイトでは、新シーズンのシーズンチケットやユニフォームに関する広告から、両選手の姿が消えた。ミランが2人の移籍を決めたと考えるのが自然だろう。
goal.comを読んでいたら、PSGがACミランの攻守の要であるイブラヒモビッチとシウバの同時獲得を狙っているという。記事を読む限り、正式発表まで秒読み段階。欧州各国はこれから移籍が活発化しそうだが、それにしてもそれぞれのポジションにおいて世界を代表するFWとDFの同一チームからの同時移籍は過去に例があるのかどうか、前代未聞の出来事のように思う。
イブラヒモビッチは1981年10月3日生まれの30歳。シウバは1984年9月22日の27歳なので、売り時なのは間違いないが、イブラヒモビッチはともかく、シウバ売却はACミランにとってかなりの痛みを伴う。センターバックとしてネスタの後継者と目され、その読みの鋭さはかつてのバレージを彷彿とさせるほど。文字通り世界を代表するセンターバックに成長しただけに、DF40億円の価格は妥当な数字なのかもしれないが、シウバ抜きでチャンピオンズリーグを勝ち抜くのはかなり難しい。
まもなく31歳を迎えるイブラヒモビッチは逆算すれば20億から25億ぐらいの価格になるのだろうが、FWとしてはこれから後退局面に入ることを考えれば悪い数字ではない。パトが怪我することなく年間を通して普通に仕事をしてくれればイブラヒモビッチの穴は埋まるが、現在のACミランのバックラインを眺めるとシウバ移籍の穴を埋めるのは容易ではないだろう。
PSGがどのようなチームなのかは知らないが、Wikipediaを見る限り、フランス一部リーグの中堅クラブ。今期は2位、CL圏内の成績を残しているが、それにしてもこの欧州景気の先行き不透明感が漂う今日この頃、65億円の大型投資はちょっと驚くべきものがある。栄華を極めるリーガ・エスパニョーラもスペインの景気動向を見る限り、すでに衰退が始まっているとみるべきなのかもしれない。
●名門パリ・サンジェルマンに異変あり
今季のパリ・サンジェルマン(PSG)は、どこかが違う。PSGは、常に質の高い選手を擁するクラブではあったが、これまでは年を取って所属クラブから放出された元代表選手などが主で、世界レベルで一流と呼べる全盛期の選手を擁していたわけではなかった。実際PSGは、ランキングの中の下から中の上の間をうろつく、名ばかりの名門に成り下がっていたのである。しかし、昨シーズンの終わりに、カタールの王位継承者が所有する投資団体カタール・インベストメント・オーソリティがPSGの株の70%を買い取って以来、状況は一変する。
欧州の強豪の一角に返り咲くことを目標に、新オーナーはまず、スポーツ・ディレクターの役職に、元ミランとインテルの監督で、何よりかつてミランのスカウト係として手腕を発揮したレオナルドを抜てき。監督としてはいまひとつでも、スカウトとしての鑑識眼と人脈では高い評判を誇る"レオ"は、参入するなり、移籍市場で精力的に動いた。
●ヨーロッパを席巻するパリ・サンジェルマン会長の飽くなき野望