アマゾンKindle Fire HDの原価と青空文庫の楽しみ
- 2012.11.10
アマゾンKindle Fire HDの価格を調べていたら、公式サイトでは15800円とかなりお手頃の価格帯。性能的に比較するのは無理があるのかもしれないが、Google Nexus7,iPad miniと比較すると実に求めやすい価格帯だ。現在発売されているNexus7/16GBの19800円でもほとんど利益は出ないはずなのに、それをさらに上回る15800円とは太っ腹以外の何物でもないが、ネットを巡回していたら案の定、売れば売るほど赤字になるとの記事が掲載されていた。
●「Kindle Fire HD」の部品原価、16GBモデルは165ドル 米調査 米IHS iSuppliは現地時間2012年11月5日、米Amazon.comの7インチの「Kindle Fire HD」タブレット端末の実機を分解して調査した原価分析結果を発表した。それによると、希望小売価格が199ドルのWi-Fi接続専用16Gバイトモデルは、BOM(Bill of Material:部品表)に基づく部品原価が165ドルで、製造コストを含めると174ドルになる。 iSuppliは、「ソフトウエアやライセンス料などの諸費用を除いたコストが174ドルもかかるのでは、199ドルの販売価格でもうけを出すのは厳しい。しかしAmazon.comはハードウエアで利益を得るのではなく、魅力的な価格で製品を提供し、多くの消費者を同社のコンテンツやECサイトに引きつける戦略をとっている」と分析している。 またiSuppliは、Kindle Fire HDがコストを削減しつつ、オリジナル機種の「Kindle Fire」より性能を向上させている点を指摘した。Kindle Fireは販売価格が199ドルに対し、部品および製造コストが201.70ドルと、売れるごとに赤字になる。 |
製造コスト『174ドル×(1ドル80円)=13,920円』なので、それ以外の費用を加算すれば15800円ではとても利益が出ないのは分かるが、それにしてもハードで稼がずにソフトで稼ぐビジネスモデルはアップルとまさに対照的。ハードソフト一体型開発でアップルユーザ体験を顧客に提供し、ハードウェアで稼ぐことを本業とするアップルとの戦略の違いが改めて浮き彫りにされて、米国IT産業の動向からはますます目が離せなくなる。
さてそのアマゾンKindle、ソフトで稼ぐアマゾンには申し訳ないが、電子書籍として手頃なのはなんと言っても青空文庫。コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズを見つけたときには感激したが、毎年著作権切れの作家が登録されているのを先日初めて知った。『現在著述は没年の翌年の元日から50年間有効』とあるから、2013年1月1日以降にはいよいよ吉川英治の作品が登場するわけだ。三国志、宮本武蔵、全巻読破となると1年、あるいはそれ以上かかりそうだが、これは実に楽しみ。正月休みに読めることが出来ればいいのだが。