新型iPhone 5のテザリング対応について

  • 2012.09.16
By Black and Blue

au公式サイトによると、いよいよLTE iPhone 5ではテザリングが解禁になるという。確か日本でiPhoneがソフトバンクから発売された時にも機能としては搭載されていたように記憶しているが、当時の孫社長の発言でも当分開放する予定はないと言っていた。今現在はようやく念願のプラチナバンドを獲得して少しずつ電波状況を改善しているようだが、それでも劇的に改善したという報告は少ないように思う。

そんな状況下ではとてもテザリングまでは余裕が回らないということなのだろうが、その点、水面下で着々とLTEサービス網の拡充に努めてきたauの場合、多少なりとも余裕が出てきたようだ。auの場合、主力は何といっても800MHz帯域なのだが、この800MHz帯域でiPhone5がLTE対応してくれれば文句なしだったのだが、いざ実際にふたを開けてみると、日本国内でiPhoneが対応するLTEは2.1GHz帯のみ。主力800MHz帯域の非対応で果たしてauの持ち味である『つながりやすさ』は確保されるのかどうか一抹の不安があったが、ITmediaの記事を読む限り、心配はなさそうだ。

●KDDIの2.1GHz帯のLTEサポートやいかに?

冒頭でも述べたとおり、iPhone 5は高速通信が可能なLTEをサポートしたが、日本で使われるさまざまなLTE向け周波数のうち、対応しているのは2.1GHz帯(LTEバンド1)のみである。しかしこの周波数は、KDDIが当初策定していたLTEの導入計画にはなかったものだ。

かつてKDDIが総務省に提出した計画では、同社のLTEは800MHz帯で全国をカバーしつつ、都市部は1.5GHzを重畳するというものだった。iPhone 5が2.1GHzしかサポートしないのであれば、KDDIの主力LTE網にはつながらないことになる。

しかし、田中氏によると、iPhoneの発売が決まった段階で、この計画は変更されたという。

「データ通信の帯域は今後、爆発的に増えていくため、混雑するエリアでは持っている周波数はすべて重畳していかなければなりません。そうした意味では800MHzも1.5GHzも、もちろん2.1GHzでもエリアを作っていく必要があるのです。iPhoneをやると決めた段階で、すでにiPhoneが対応する日本のLTEバンドは2.1GHzになることが決まっていました。2.1GHzは多くの地域で使われる共通バンドなので、基地局に対する投資も安くなりますから、ならば2.1GHzの基地局も打って(設置して)しまおうということで計画を変更しました。いずれはすべての周波数でLTEの基地局を配置しなくてはならないのです」(田中氏)

「2.1GHzをiPhone専用のLTEとして構築しているわけではないので、この先どうなるかは別の話です。しかし当面の間、AndroidのLTE対応スマートフォンは800MHzと1.5GHzのデュアルバンドになる予定で、2.1GHzは使いません。結果的に2.1GHzのLTEはiPhoneだけで利用することになります」(田中氏)


想像するに、2011年夏にauがiPhoneを取り扱うと決めた時点で、内々にLTE iPhone 5が対応する周波数帯を知らされていたのだろう。そこで急遽予定を切り替えて2.1GHz帯域の拡充に努めたということなのだろうが、それにしても現時点でもiPhone 5に『800MHz帯に対応するアンテナは内蔵』されているとは意外だった。

ところで、iPhone 5には800MHz帯に対応するアンテナは内蔵されており、iPhone 5が採用しているとされるQualcommのLTE対応チップも、KDDIの800MHz帯をサポートしている。それなのにKDDIの800MHz帯LTEがiPhone 5で使えない理由は何だろうか。気になったので田中氏に尋ねてみたが、これに関しては「詳細は話すことができません。確かにQualcommのチップは800MHz帯をサポートしています。これは他にサポートしている端末があるのですから、否定しません。ただ、モデムチップだけでなく、周辺のアナログ回路やソフトウェアを含めた“モデム全体”では、まだKDDIの800MHz帯はサポートできていないということです」とのことだった。


となると2013年秋頃には登場するはずのiPhone5S?は800MHz帯域に対応する可能性が高く、そうなるとKDDIにとってはまさに願ったり叶ったりだろう。

アップル公式サイトには明確な電池容量が記載されていないので詳細は不明だが、iPhone 5の電池容量はおそらくiPhone 4Sと同等。となるとそれほどバッテリー容量に余裕があるというわけでもなく、テザリング使用時にはあっという間に減りそうだが、機能としてテザリングが使えると結構便利なのだ。

例えば外出時に無線LAN仕様のiPadを持ち歩く場合、モバイルルータか公衆無線LANを活用するしかなかったのだが、iPhone 5でテザリングが活用できるとなればそれも不要となる。もちろん常にノートPCを持ち歩くような人はWiMAXやドコモXi対応のモバイルルータが必須となるのだろうが、それほど頻度が高くない人にとってはこれで充分。auによると年内はテザリング料金525円が不要であるという。購入したら早速実験してみたい。

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